コリン性蕁麻疹を患いチクチク痛みを感じる人が、最も知りたいのは、「この蕁麻疹、どうやったら治るのか?せめてチクチクする痛みを抑制する方法はないのか」ということかと思います。
しかし残念なことに、2020年3月時点においても、減汗性コリン性蕁麻疹が完治する治療法も、チクチクの痛みを抑える方法も確立されていません。ただ、そのことは改善させる方法が一切ないということではなく、一部の方には有効であった治療法や改善法はあります。
そこでここでは筆者が各所から集めた情報を皆さんと共有するとともに、実際試した治療法/改善法についてはその効果も記すことで、皆さんの参考になればと思いこの記事を書いています。
量が多いので2回に分けて記事にできればと思います。第1回目は飲み薬や塗り薬、入浴時に使用する入浴剤などについて記事にしてみました。
20年以上も苦しめられているだけに怪しいものも含めて色々試してきました。筆者は減汗性のコリン性蕁麻疹なので全ての方に同じ効果があることの保証できませんが、少しでも改善の道を探している方には是非読んで頂ければと思います。
飲み薬・ビタミン剤
ここではまず飲み薬やビタミン剤など服用するものについての情報とその効果について列挙します。以下各項目ごと詳細記載しますが、効果について結論から言えば、筆者の場合にはヒスタミン剤や漢方薬で目に見えて効果があったものは一つもありませんでした。
ただ一点、カルシウムを良くとった方が良いと漢方医に言われて、カルシウムのサプリを飲みはじめたところ、数日後から急にチクチクする疼痛が発生しにくくなった&発症しても症状が軽くなったという経験がありました。
色々調べても医学的根拠は見つかりませんでしたが、患者にとっては症状が抑制できることに勝ることはありませんので、健康維持の目的での服用で良いのでまずは試して頂ければと思います。(もし効果があったら、教えてくださいませ)
①抗ヒスタミン剤
コリン性蕁麻疹を疑って皮膚科のクリニックにいった際、「まずはこれを飲んで様子を見てください。」と言われるのが抗ヒスタミン剤(H1拮抗薬)です。
抗ヒスタミン剤は、神経伝達物質のヒスタミンの働きを抑えることでアレルギー反応を抑え、蕁麻疹による皮膚の腫れや痒み、鼻づまり、咳などの症状を改善する薬で、花粉症の症状を抑えるのにも処方される薬です。
日本皮膚科学会が纏めている「蕁麻疹診療ガイドライン2018」の中でもコリン性蕁麻疹について「抗ヒスタミン薬の内服はある程度の効果を期待し得る(CQ30:推奨度 1,エビデンスレベル B)」と記載されており、コリン性蕁麻疹もタイプによっては有効と認められています。
一方で、同ガイドラインの中で「特発性後天性全身性無汗症、通称AIGAを併発する病型においては通常の蕁麻疹治療が無効の事が多い」旨も記載あり、減汗・無汗型の病型では「通常の治療」の代表である抗ヒスタミン剤の効果は限定的で、筆者も効果は全くありませんでした。
(筆者が試したのは、第2世代と呼ばれる眠気の副作用がない、ルパフィン、ビラノア、デザレックス、フェキソフェナジンでした。直近はこれらが効かないことから通常の倍量を服用し、さらにH2拮抗薬のラフチジンも服用してますが、今のところチクチク疼痛が収まる気配は全くありません。)
以上の通り、抗ヒスタミン剤は減汗性のコリン性蕁麻疹では無効なことが多いものの、汗アレルギー型のコリン性蕁麻疹では有効な例も多いようですので、汗アレルギー型の方については先生と相談の上、症状の変化を観察しながら、試して頂ければと思います。
※文中に記載の「減汗・無汗型」や「汗アレルギー型」といったコリン性蕁麻疹の病型については以下の記事を参照
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【病型確認が必ず必要と理解できる!】コリン性蕁麻疹の病型分類と病型別治療法
コリン性蕁麻疹を患ってる皆様は、コリン性蕁麻疹にも幾つかの病型があることは知ってますか?また自分がどの病型に分類されるのか理解して治療を行ってますでしょうか? 筆者はずっと“コリン性蕁麻疹”というのは ...
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②漢方薬
コリン性蕁麻疹に有効な可能性のある漢方薬としてこちらのサイト(外部リンク)等から情報として得られたものに以下が挙げられます。症状別にとても細かく記載があるので是非参考にしてみてください。ただし、これらは自己判断せず必ず漢方医の所で相談の上、服用して貰えればと思います。
・黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
・消風散(しょうふうさん)
・加味逍遙散(かみしょうようさん)
・六味地黄丸(ろくみじおうがん)
・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
・桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
加えて、「特発性後天性全身性無汗症診療ガイドライン 改訂版」にも
・柴苓湯
という漢方薬が「AIGA に対し、柴苓湯内服とステロイド外用による軽快例の報告がある」とのことで、紹介されてます。こちらは無汗症の治療での軽快例なので、減汗型のコリン性蕁麻疹の方に参考にして頂けたらと思います。
筆者も2010年頃漢方薬のクリニックに通っていましたが、当時の記録がなく何を飲んでいたか不明で、当時色々漢方薬出して貰いましたが、特に効果が出た漢方薬はありませんでした。
(一方でカルシウムを飲むと良いと教えてくれたのはその漢方医でしたが。。)
筆者ももう一度、汗をかく漢方という方向性で漢方医に相談してみようかと思っています。
またアップデートあればこちらを更新させて頂きます!
③ビタミン剤
・カルシウム:湧永製薬 プレビジョン カルマジン 800粒
前述した通り、漢方医に蕁麻疹にはカルシウムが効くことがあると聞いて試したのが「カルマジン」でした。10年以上前のことなのでうる覚えですが、カルシウムを取ることで細胞壁を固くなるので痒み成分(ヒスタミン?)が出にくくなると言っていた気がします。サプリでカルシウムだけ取るのは良くなく、マグネシウムと一緒にとる必要があることからカルマジンを勧められたと記憶しております。
最初は漢方医がビタミン剤勧めてきたーと思ったのですが、意外や意外、これが最も効きました。飲み始めて数日後には、チクチクの疼痛が出にくくなり、出ても症状が軽いもので終わるようになりました。
昨今、悪化したときに再度飲んだ時にはそれ程効き目がなかったので、再現性があるかわかりませんが、効く方もいるかもしれませんし、飲むこと自体は健康に助することかと思いますので、試してみて貰えればと思います。
(⇒値段を確認)
・マルチビタミン:大塚製薬 ネイチャーメイド スーパーマルチV&M
・ビタミンD:大塚製薬 ネイチャーメイドビタミンD
以前カルシウムが効いたことから、他にも何かしらのビタミン欠乏ではと、マルチビタミンやビタミンDを試みました。がチクチクの疼痛が改善するような症状の変化は一切ありませんでした。
ただ、ビタミンDは免疫力が高まるということで飲んで以降、風邪やインフルエンザになりにくくなり思わぬ副産物でしたので、それ以降続けて飲んでいます。
④その他の市販薬:「飲む」ジンマート(ロート製薬)
その他の市販薬として、ロート製薬の「飲む」ジンマートを試してみたことがあります。こちらは「体の中から起きているじんましんを内側から治す」とありますが、中身をみるとただの抗ヒスタミン剤のメキタジンに3種のビタミンを配合しているだけでした。
従って服用してみても抗ヒスタミン剤と変わらず効果は特にありませんでした。
これまで記載している通り、汗アレルギー型のコリン性蕁麻疹の方であれば抗ヒスタミン剤が有効な事が多いので、汗アレルギー型の方でまず手軽に抗ヒスタミン剤を試したい方は試してみて頂ければと思います。
塗布薬・保湿クリーム
コリン性蕁麻疹に保湿はとても大事と理解しています。20代の頃はこの病気は内側から起こっているので、外用薬は関係ないものと思っておりましたが、色々試すと肌が乾燥しているとチクチクの疼痛の強度が増す他、収まるまでの時間が長くなります。
従って、基本的にはどの保湿剤も保湿することで効果がありましたが、使ったものを使用感等含め下記に列挙・比較してみます。
また、「塗る」ジンマートはチクチクの疼痛が発症しているときに、直接効果があった(症状が抑えられた)唯一の外用薬でしたので、そちらも下記に記述します。
①馬油ナチュラルミルクローション
症状が酷く、少しでも汗をかくと酷い症状がでてしまうような時に全身にこの馬油ナチュラルミルクローションを全身に塗るようにしたところ痛みの度合が5分の1ぐらいに抑えられ、それ以来かれこれ7、8年ほど、ほぼ毎日欠かさず塗っています。
毎日つけているので最近は効果を感じずらくなっています。
値段がリーズナブルで量も多く、また良く伸びるので全身にたっぷり塗れておススメです。
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②ヒルドプレミアムミルクローション、ヘパリン類似物質ローション0.3%
減汗性コリン性蕁麻疹や特発性後天性全身性無汗症と診断されても先生方から、塗布薬についてコメントもなかったのでずっと①の馬油をつけてたのですが、自身で調べていたところこちらのセミナー資料(外部リンク)にもある通り、昨今ヘパリン類似物質含有クリーム(ヒルドイド等)が自己発汗を亢進させる効果があるとのことで、まずは市販薬のヒルドプレミアムミルクローションを購入しつけ始めました。
つけ始めたばかりなので、効果はまだハッキリしない所ですが、先日外来で訪問した際に「ヒルドイドをつけると発汗が進んでこの病気にはよいのでは」と聞いたところ、先生も「まさにその通り」とのことでヒルドイドをつけることを推奨していました。(最初から薦めてほしかったですが…)
外来にてヒルドイド(後発薬:ヘパリン類似物質ローション0.3%)を処方して貰えたので保険適用である程度の本数を入手できました。
論文によると、塗る量を通常の3倍量塗ると基礎発汗(安静時の発汗)量が明確に増えるエビデンスがあるようなので試してみたいと思います。
・ヒルドプレミアムミルクローション
こちらであれば処方無しで購入できますが、保険適用との値段の差が激しいですので、処方して貰えるなら処方して貰いましょう。
③ニベアクリーム・ワセリン・薬用ハンドクリーム
掌及び足の踵等、乾燥の酷い場所にはニベアクリームやワセリンをつけています。
ミルクローションよりも長持ちする為につけていますが、直後にべたべたが残る他、ニベアについては少し匂いもあるのでお好みで使用されるのが良いかと思います。
蕁麻疹や疼痛を抑制する等症状への効果は全くありませんが、乾燥した部位のケアにはとてもお薦めです。
持ち運び用には小型で無香料の資生堂の薬用モアディープを使用していますが、ニベアやワセリンに比べてベタベタが軽めで使いやすいです。
・ニベア:NIVEA(ニベア) クリーム 大缶 169g
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・ワセリン:大洋製薬 日本薬局方 白色ワセリン(500g)
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・薬用ハンドクリーム:資生堂 ハンドクリーム 薬用モアディープ(チューブ)
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④その他:「塗る」ジンマート(ロート製薬)
その他の市販薬として、ロート製薬の「塗る」ジンマートを使ったことがありますが、これまで使った塗布薬の中で、唯一チクチクの疼痛の症状に対して直接効果がありました。
というのもメントールが配合されており、熱くなってチクチクしている患部を塗布直後に速やかに冷やしてくれることでチクチクの疼痛がすっと収まりました。(保冷剤をあてるのと同じですが、ひんやりする爽快感ですぐに収まりました)
量は多めにつける必要がありますが、3つのかゆみ止め成分が入ってるとのことなので、冷やすとともにそれらの成分も効いているのかもしれません。
何か作業をするときに必ず症状がでる方が作業前につけたり、日中症状がきつい方はこちらを持っておいて症状が出たらすぐに塗ることで、症状を最短にできる可能性があります。是非試して頂ければと思います。
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⑤その他:日焼け用クールローション
(※4/2追記)ふと思いついたのですが、上記で記載した「塗る」ジンマートが、発疹時にメントールの冷涼感でチクチクする疼痛を抑制できるのであれば、同じ原理でメントールの配合された日焼け用クールローションも効果があるのではと考えています。
以下、二つ見つけたのでどちらか購入し、症状が出たら(もしくは出そうになったら)すぐにつけてみて痛みを抑えることができるか実験してみたいと思います。ただ昨今は症状がそれほど酷くないので効果を判断できるかわかりません。こちらは試すことができましたら感想を更新させて頂きます。
こちらも一応一つのアイデアとして載せておきますので、もし使われて効果があった方いれば教えてくださいませ。
・メンターム クールローション(230mL)
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・ファーマアクト 薬用クールローション 弱酸性
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入浴剤・バスソルト等
続いて、入浴時に効果があるのではと試したものを紹介したいと思います。
減汗・無汗型のコリン性蕁麻疹にとっては汗をかくことが大事と理解したため、温熱効果を高めて効率的に汗をかくことができる、肌に良さそうなものを探しました。
結論からいうと、この製品の直接的効果で疼痛が収まったというものはありませんでしたが、発汗効果が高まり、風呂から出た後も汗が良く出るようになり、結果日常で疼痛が起こっても症状が軽快しました(他でサウナや運動もやり総合的に汗が出やすい体質へと変化させたことも複合的に効果でた結果となりますが…)。
発汗の促進という観点では①入浴剤の4つ目の「激感 汗流風呂」が最も汗をかくことができ、効果が最も有効であったと感じたこともこちらに記しておきます。
①入浴剤
・バブ ゆず の香り 20錠入 炭酸 入浴剤 薬用
炭酸で温浴効果を高めるものでした。ゆずの香りもよく入浴剤を入れない時に比べてゆっくりとお湯につかることができました。そもそも特に発汗についてはパッケージにも触れられてない製品でしたが、発汗の効果としては何か特別汗がでたという感じではありませんでした。
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・バブ メディキュア 発汗 リフレッシュ浴 6錠入
パッケージにも発汗と記載されており、高麗人参エキスやトウガラシエキスの入ったバブの入浴剤。発泡も強く、発汗成分のおかげか表面が少し熱い感じで身体がポッカポカになりました。その分汗も良くでたので表記通りでした。ただし少し刺激が強い感じもしたので毎日は入らない方が良いかなという感じでした。
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・汗かきエステ気分 ゲルマホットチリ 500g
女性向けの国産海塩と死海塩のバスソルトでした。ホットジンジャーの香りでお湯はオレンジ色になりました。成分にショウガ根茎エキス、トウガラシ果実エキス、インドナガコショウ果実エキス等が入っており、皮膚表面が少し熱くなるような感じで発汗も通常より沢山でた気がしました。
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・激感 汗流風呂 400g
見るからに辛そうな真っ赤なお湯色で、4種の激感HOT成分、海塩、ショウガ根エキス、有機ゲルマニウム、トウガラシエキス配合で汗がかなり出てくる製品でした。一方で香りはフローラル系で華やかな感じもしました。4つの中でもっとも身体が温まり、汗が噴き出した製品でした。
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②バスソルト
・ヨガデトックス スウェッティングバス 750g
道端アンジェリカがプロデュースするバスソルトです。バスタイムにホットヨガ級の発汗と書かれて使いましたが、色々な成分が入っているわりにはトウガラシ成分は含まれておらず、肌に優しく発汗の促進も優しい感じでした。お湯に色もつかず、粒もさらさらなので肌がきれいになりそうな感じはありました。
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・シークリスタルス エプソムソルト
エプソムソルトとは、そもそも硫酸とマグネシウムの無機化合物で、中世にイギリスのエプソムという場所で発見され、白くて塩の結晶ように見えたのでその名称が付いたと言われていますが、実は塩分はまったく含まれていないものです。特にマグネシウムに体温や血圧を調整する役割があり、血行が良くなることで体が温まりやすくなり、入浴の温熱効果を高めてくれるものです。使った感想としては、発汗の促進が進むような感じはありませんが、身体が温まる感じはしました。ただサラサラ水に溶けてしまうのでバブのような存在感のある入浴剤と比べるとあまり存在感のない感じでした。
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③その他:みかんの皮
上記①と②は発汗効果を狙って使いましたが、一方でみかんの皮をお風呂にいれると蕁麻疹が抑制されるというのを聞きつけて、みかんの皮を乾燥させたものを風呂に入れてみました。
原理としてはみかんの皮に含まれるヘスペリジンという物質に抗アレルギー作用があり、マスト細胞の膜を安定させることでヒスタミン放出を抑制するということのようで、昔から痒いときはみかんの皮を風呂に入れるというのが民間療法として確立しているみたいです。
実際にやってみたところ、ゆず湯のようにみかんの良い香りがして温まる感じでしたが、温まるにつれて、いつもと同様にピリピリする疼痛が発生しました。従って、ピリピリの疼痛が抑制されるような事はなさそうでした。思い出しましたが、ピリピリの疼痛は恐らくヒスタミン放出とは関係ない機序で発生していると推察されるのでヘスペリジンの効能でも抑えることは難しいようでした。
一方で、赤くなったり膨疹がでたりする汗アレルギー型の蕁麻疹症状には効き目があるのかもしれません。もし試した方がいれば教えて頂ければと思います。
みかんの皮を乾燥させたものは販売もされているようでしたので、自身で用意するのが難しい場合は「陳皮みかんの皮」で販売もありますので、探してみてください。
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以上、治療法/改善法の第1回目は飲み薬や塗り薬、入浴時に使用する入浴剤などについて記事にしてみました。次回は、運動、食べ物、その他少し怪しいものまで記事にする予定ですので、また読んで頂ければ嬉しいです!