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【入院検査の全貌がわかる!】特発性後天性全身性無汗症(AIGA)の入院録①

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前回の記事「【コリン性蕁麻疹で入院が必要となった理由がわかる!】特発性後天性全身性無汗症(AIGA)での入院経緯」、で記載した通り、コリン性蕁麻疹の病型分類の中に特発性後天性全身性無汗症を併発するタイプがあることを知り、自分の症状と重なることから、その病型ではないかと疑い、入院して検査・治療を受けてきましたので、その話を書きます。

同じ症状で入院される方や、そのような検査・治療があることをここで初めて知った方に治療の選択肢の参考となればと思います。

少し長いので①検査編(1日目~3日目)と②治療編(3日目~5日目)に分けて投稿します。

特発性後天性全身性無汗症(AIGA)の診断基準

入院初日、まず検査・治療についての説明を受けました。

今回の入院は前半3日が検査、後半3日が治療と分けられており、前半の検査で特発性後天性全身性無汗症(AIGA)と診断ができるかを確認し、診断がおりれば3日目以降3日間のステロイド治療を行うということでした。

では、どのような条件を満たせば特発性後天性全身性無汗症(AIGA)と診断できるのでしょうか?

それは厚生労働省が難病指定している特発性後天性全身性無汗症(AIGA)の診断基準を満たすことが必要で、具体的には以下の引用内にあるAとBの条件を満たすことが必要とのことでした。

難しい言葉で書かれていますが、ようは原因不明で生まれつきのものでなく、自律神経や神経的な問題もなく全身の25%以上の範囲で無汗もしくは発汗が減ってたらAIGAと診断できるという事でした。

特発性後天性全身性無汗症(AIGA)の診断基準
 
A.明らかな原因なく後天性に非髄節性の広範な無汗/減汗(発汗低下)を呈するが、発汗以外の自律神経症候及び神経学的症候を認めない。
 
B.ヨードデンプン反応を用いたミノール法などによる温熱発汗試験で黒色に変色しない領域もしくはサーモグラフィーによる高体温領域が全身の25%以上の範囲に無汗/減汗(発汗低下)がみられる。

参考項目
1.発汗誘発時に皮膚のピリピリする痛み・発疹(コリン性蕁麻疹)がしばしばみられる。
2.発汗低下に左右差なく、腋窩の発汗ならびに手掌・足底の精神性発汗は保たれていることが多い。
3.アトピー性皮膚炎はAIGAに合併することがあるので除外項目には含めない。
4.病理組織学的所見:汗腺周囲のリンパ球浸潤、汗腺の委縮、汗孔に角栓なども認めることもある。
5.アセチルコリン皮内テスト又はQSARTで反応低下を認める。
6.抗SS-A抗体陰性、抗SS-B抗体陰性、外分泌腺機能異常がないなどシェーグレン症候群は否定する。

<診断のカテゴリー>
A+BをもってAIGAと診断する。

引用元:難病情報センターHP「特発性後天性全身性無汗症(指定難病163)」

 

この診断がおりないとAIGAとしての治療を始められない為、上記のAとBの条件を満たすこと、および参考項目の確認をまず行うというのが、今回の検査入院の趣旨でした。

この検査の中でもし”特発性後天性全身性無汗症(AIGA)である”という診断を否定するような結果が出た場合には、(当たり前の話しですが。。)治療のアプローチも変わるため、予定しているステロイド治療を行わないで3日目で退院となることもある旨告げられました。

 

特発性後天性全身性無汗症(AIGA)の検査内容(1日目~3日目)

特発性後天性全身性無汗症の診断材料を得るべく、以下大まかに分けて合計7つの検査を行いました。

1日目:①ミノール法、②サーモグラフィー、③定量的発汗機能検査(QSART)及びアセチルコリン皮肉テスト、④心電図及び起立性低血圧テスト
2日目:⑤交感神経性皮膚反応(SSR)、⑥自己汗・自己血清皮肉テスト
3日目:⑦皮膚生検

以下に、それぞれについて検査の詳細と実際の流れ・所感を記載したいと思います。

①ミノール法

まず最初にミノール法という名前の、発汗の有無と無汗の部位を確認するテストを行いました。

このミノール法はとても古典的?原始的?な方法で、患者がパンツ一枚となり身体の隅々までヨード液を塗り乾かし、乾いた後さらにデンプンとオリーブオイルを混ぜた溶液を乾いたヨード液の上に塗り、電話ボックスぐらいの1人サウナに15分入り、患者の発汗を色が変化するかで確認するというものでした。

患者が汗をかくと乾いていたヨード液が水気をおび、デンプンと混ざることでヨウ素デンプン反応を起こし黒色になるので、身体のどの部位で汗をかいたかが確認できるというものでした。

ミノール法については入院前よりネット上で確認し、ある程度内容を知っていましたが、実際受けてみるとパンツ一丁で二人の医者(1人は若い女医さんw)に身体の隅々まで筆で塗られるのは異様な光景、かつ稀有な体験でした。

(※パンツはヨード液やオリーブオイルで汚れるので色の濃いものか、使い古したパンツを用意するべきでした。。。直前に言われたので普通のパンツはいてしまっていたので今後実施される方は留意ください。)

検査結果ですが、15分サウナに入れば健常者であれば、全身から汗が出て全身真っ黒になるようですが、結果としては、、、黒くなったのは脇と額ぐらいでした。汗がでた面積としては5%ぐらいで残り95%は無汗かほんのり出たかどうかぐらいでした。

そもそもサウナに入ったらピリピリの痛痒みがでて辛いだろうなと検査前は覚悟してたのですが、全くでず筆者にとっては発汗のための負荷が足りず、汗のかきはじめの状態にもならなかったようでした。

どちらにせよ、15分の時間の中で殆ど汗をかけてないことで、汗をかきにくく全身の皮膚のうち90%ぐらいが無汗か減汗であることが確認されたようでした。

(一方で身体のどの部位が本当に汗をかけないのかの正確な特定はできず、3日目におこなう皮膚生検で切る皮膚をどこにするかの判断材料が得られなかったようでした。。。サウナの時間を15分に拘らず、30分入るとかサウナの前に踏み台昇降等で身体をあたためておけば、もう少し有意義な検査結果が得られた気がしました)

②サーモグラフィー

つづいてサーモグラフィーについてですが、こちらはミノール法でサウナに入る時に同時に行った検査で、サウナに入る前と入った後で体の各部位の温度変化を確認しました。

これはAIGA患者は汗が出にくい分、熱が身体の中にこもりやすい為、身体の温度自体が平熱よりも高くなるようで、どこの部位の温度が上がっているか等も含めて確認するものでした。

ただ、この検査については検査後先生からの言及があまりなく、自身としてもそれほど身体が熱くなった感じもしなかったので、そもそもの検査の負荷不足で身体の温度変化もあまり見られなかったではと推測しています。

(※後で先生に聞いたところ、身体熱くなっていましたよと一言だけ言っておりました)

③定量的発汗機能検査(QSART)、アセチルコリン皮肉テスト

初日の午後には定量的発汗機能検査(QSART)という、皮膚に微弱電流を通電し、アセチルコリンという神経伝達物質を電気刺激で皮膚から浸透させ、発汗を定量的に観測するテストをしました。

この検査により無汗症の原因がアセチルコリン分泌の低下であるかや、神経や汗腺の障害等にあるか等を確認でき、無汗症の原因探索に有用とのことでした。

筆者の場合は、汗の出にくい場所ということで足の左太ももの裏で実行しました。通電している間やけどしているようなピリピリ感を感じ、それはコリン性蕁麻疹が発症した時のピリピリに近い感覚でしたが局所のため強調されて結構痛む感じでした。

5分通電し、通電後5分を含めて合計10分の間にどの程度の量の発汗が見られるか測定しましたが、最初の出だしは遅かったものの、最終的にそれなりの発汗量が見られたようでした。

左足に電流を流す一方で、右足にはアセチルコリンを皮膚に直接注射して発汗を見る検査もしました(おそらくこれがアセチルコリン皮肉テスト)。こちらはアセチルコリンを直接注射することでそれに対して発汗機能が適正に働くかを測定しました。

結果としては、やはり出だしは遅いものの量的にはまずまず発生したようです。

上記2つの検査結果より、無汗症の原因は神経や汗腺の障害等では無さそうとの結論になりました。

④心電図、起立性低血圧テスト(自律神経症候検査)

自律神経症候がないこともAIGA診断に必要なため、心電図を使った検査もしました。この検査は大きく呼吸したときの心電図の反応・値を計測しました。

これに加えて、小さい頃からたまに立ち眩みはあると伝えたことから起立性低血圧テストも行いました。これは寝た状態で血圧を計り、その後ベッドから降りて起立し、その直後の血圧を再度計るものでした。

両方ともに全く問題はなく、「自律神経症候は見られない」という結論でした。

初日の検査は以上で終わりでした。

⑤交感神経性皮膚反応(SSR)(精神性発汗テスト)

翌日、交換神経性皮膚反応(SSR)と呼ばれる、掌や足の裏の精神性発汗を測定する検査を受けました。

他の身体の表面と違い、掌や足の裏は温度変化による発汗ではなく、緊張やストレスに対して汗をかく機能が備わっており、その機能が失われてないかを確認するものでした。

これは特発性後天性全身性無汗症でも精神性発汗は残るケースが多いということでその確認の為の検査でした。

検査はベッドに寝て、両手両足の平に汗センサーのようなものを取り付け、刺激を与えた時の汗の出方を確認するもので、最初に刺激として勢いよく息を吸い込むことをしました。人間は息を急激に吸い込もうとすると緊張からか手足に汗をかくようで、それを利用した検査でした。

結果は目には全くみえないものの刺激に反応してちゃんと発汗しているとのことでした。

続いて、もう1つ刺激をということで、同じく汗センサーはつけたまま寝た状態でおでこにポンと急に叩くような装置をつけられ、この急な刺激時の発汗を検査しました。

こちらも反応よく発汗していたようで、昨今手足がかさかさで心配してましたが「精神性発汗は保たれている」という結論でした。

⑥自己汗・自己血清皮肉テスト(汗アレルギー検査)

特発性後天性全身性無汗症の場合、汗アレルギーであることは殆どないようですが、コリン性蕁麻疹の病型の1つに、汗アレルギーが原因の場合がある為、汗アレルギーの有無を確認する検査をしました。

これはトライアスロンを最近始めた筆者としては水泳中に汗アレルギーでアナフィラキシーショックになったら怖いという点で検査の中で一番確認したかったものでした。加えて自身の血液の成分にアレルギー反応を示す人もいるとのことで、自己血清も同時に皮肉テストで検査しました。

皮内テスト

検査方法としては、ミノール法の時と同様、サウナに入り出てきた汗を採取し、その汗、及び汗を希釈した溶液を皮肉注射(皮膚の浅いところに注射)して、赤い腫れと膨らみの有無・度合を検査するものでした。汗の採取にはよく汗をかく背中を消毒の上、ビニール袋をテープで取り付け、ビニールに付着した汗や額から垂れてくる汗をスポイトで吸い上げるというこれまた原始的な方法で採取してました。

注射は右の写真の感じで右腕の内側に5か所、生理的食塩水、血清、汗原液、汗を10倍希釈したもの、汗を100倍希釈したものの順で皮内注射してました。

前の日ミノール法の時、15分のサウナでは汗を全然かけなかったため今回は15分の踏み台昇降を実施し、うっすら汗を掻いてからサウナに入りました。昨日のミノール法もこれやってから入れば良かったのではと思いましたが、ヨード液とデンプン溶液が飛び散るのでまぁ仕方なかったのでしょう。今後改善しているかの基準として、現状全身のどこが汗かけてないかちゃんと確認したかったです。

それはさておき、無事大量の汗がでて採取できて先生方も満足そうでした。その後、採取した汗と前に採決していた血液から作った血清を午後に皮肉注射し反応を確認しました。

検査結果、全て陰性、特に反応なく汗アレルギーも自己血清へのアレルギーもないと確認できました。

二日目の検査はここまで。

⑦皮膚生研

三日目の午前は皮膚を切り取る皮膚生検を行いました。

病理に回すので結果出るのは2週間先ということで、AIGAかどうかの診断には関係なさそうですが、大学病院の研究材料として汗がでない箇所が細胞レベルでどのようになっているかを確認するのに必要なのだと思われます。インフォームドコンセント資料には診断確定のために必要とありますので、これをもって確定と理解しておきましょう。

検査方法としては、皮膚の一部を切り取るもので、まず切り取る部位の周りを痛み止めの麻酔注射して、型抜き器のようなもので押し付けて切り取るとのことでした。一本の線のような切り口になるようで切除後縫合されるとのことでした。

筆者の場合、足が特に汗を掻けてない気がしたので切り取る部位は太ももの内側にして貰いました。麻酔注射を4か所ほど打たれてそれがまずまず痛かったですが、麻酔の利きを確認するのにピンセットで摘まむとまだチクチク感覚があったので麻酔を少し増量してもらいました。そのお陰か皮膚を切り取るときは全く何も感じず生検完了となりました。

一点、生検する部位についてですが、今回筆者は太ももを選びましたが、結構切り傷が深いので退院後、約2週間は動かさないようにとのことで、太ももだと半身浴や軽い運動もしずらかったので、お腹や腕にして貰えばよかったかなと思いました。

退院後もできる限り汗をかいた方が治療効果が上がりそうだったので、これから受ける方はこの点留意して選んだら良いのかなと思いました。

 

検査結果(診断)とその後の予定

皮膚生検で、今回の入院で受ける検査が全て完了となり、三日目お昼頃に、皮膚生検の結果は出ていないけれども「特発性後天性全身性無汗症(AIGA)」の診断として否定する検査結果は出ていないので、「特発性後天性全身性無汗症およびコリン性蕁麻疹」として診断し、同日午後からステロイド・パルス療法に進むと告げられました。

加えて元々、入院の期間は1週間と言われていましたが、この後治療三日で三日目の午前には退院できるということで入院五日で退院の見通しになりました。

入院していると気が滅入るので、早く退院できることになり嬉しくなりました。先生方の迅速な対応に感謝。

 

以上。

午後からの治療の様子は、また次の記事で書ければと思います!

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